てんちょのお気に入り☆ 佐々木譲さんをたどる

わたくし「てんちょ」の好きなものを、ただただ紹介するブログです

4.『死の色の封印』

 

“洋館を覆う恐慌の影… 80年前の惨劇を暴け!”

1984年6月         徳間書店

1989年6月15日 徳間文庫

 

佐々木譲さん初のホラー小説です。

バイク・冒険・歴史・警察小説のイメージを強く持たれている方には意外かもしれませんが、佐々木さんはホラー作品を何作も発表しています。その第一弾が本書。

 

新藤恭介は、故なき醜聞で東京の大学を追われ、妻子とともに札幌郊外の私立大学に新たな職を求めた。80年前に教頭を務めていた米国人ベーカーが建てた館に住むことになった一家を恐怖が襲う!

怪しい人影が窓に映り、高窓が落ち、妻は地下室に閉じ込められた。

 

あまりにも記録が少なく、大学関係者も多くを語ろうとしないベーカーの研究業績に光を当てようと、資料の収集を始めた恭介に、調査はやめるようにとの大学からの圧力がかかる!なぜベーカーのことを隠そうとするのか!?ベーカーの秘められた過去とは?

 

古い洋館や、家族を襲う恐怖など、ホラーの要素も満載ですが、私個人的にはベーカー一家の過去と、それを知った恭介の変化がとても印象的でした。その変化を、恭介の妻と娘は正反対に捉えます。妻は“ベーカーにとり憑かれている”と。娘は逆に父への敬慕の念を膨らませていく。

 

最後に明かされるベーカー一家の過去。

そして新藤一家にも同じような悲劇が襲おうとする…。

 

佐々木さんのホラー小説を読んだことのない方、ぜひ読まれてはいかがでしょうか?

ただの“怪談”ではない、切ない物語です。