「振り返れば地平線」
“8月16日、開陽台で満月が待っている”
1982年 9月25日 CBSソニー出版
1986年10月25日 集英社文庫
佐々木譲さんの長編第一作です。デビュー作に続いてバイク小説です。
舞台は北海道。
6年前、喫茶モンテッサに集まっていた若いバイク乗りたちが、名ばかりのチーム「モンテッサ・ツーリング・クラブ(MTC )」を結成し、
“いつか開陽台で満月を見よう”と誓い合う。
6年経ったある日、モンテッサに貼られた手紙を見て、東京で勤め人をしていた久志も北海道へと向かう。
苫小牧で会えたのはMTCの慎平ひとりだった。慎平は仕事を辞めてくるほどこのツーリングに賭けていた。多くの仲間が来ていないことに失望しながらも久志は慎平と北海道ツーリングを始める。途中、女ライダー涼子も加わり、約束の開陽台へと向かう。
3人を開陽台で待つものは!?
佐々木譲さんのバイク小説では、いつも“風”が登場します。
苫小牧に着いたときに久志が感じた“風”。
ツーリング中にライダーたちを包む“風”。
本作の“続編”とも言われる「いつか風が見ていた」も、“風”がとても重要な要素でもあります。
“仲間は開陽台に集まってくるだろうか”という不安、途中の改造セリカとのバトルや涼子に伸びる魔の手、涼子をめぐる恋模様…。
広大な北海道で、様々なドラマが繰り広げられます。
好きなのは、やはりエンディング。
仕事のため、東京に戻らないといけない久志と、このまま北海道ツーリングを続けようという慎平・涼子。久志が抱える葛藤と、最後に下す決断が見物です!